アルコール依存症克服ガイド

世話こそ私の存在意義!

私たちは誰でも、母親(事情があって母親がいない場合は、
その代理になる人)のお世話なくしては成長できません。
どんな境遇にあっても、誰かがミルクを与えなければ
赤ちゃんは必要な栄養素を摂取できないわけですから。

 

今、私たちが二歩足で立って歩いているということ自体、
誰かに世話をしてもらったという動かぬ証拠なのです。

 

しかし、その“世話”も行き過ぎてしまえば一種の病気。
世話をすることに自分の存在意義を見出し、
世話する対象を自分の「生き甲斐」にしてしまう…
それが、世話型依存です。
世話型依存の背景にあるのは、次のような心理です。

 

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●相手を思うようにコントロールすることによって、
 自分自身の寂しさや無力感を紛らわしたい

 

●自分が世話した相手の成功を自分の成功のように感じ、
 自分が評価されたような気分になる

 

●「私が世話をしなければこの子は何もできない」と思い込み、
 そこに自分の存在意義を求める

 

●世話をすることで自分の存在意義を確認し、安心している

 

…つまり、表面上は「あなたのため」と言いながらも、
実際は“自分のために”献身的に世話をしているだけ
というケースが多いのです。

子供への悪影響

世話型依存は、一般の家庭内でよく見られます。
極端な言い方をすれば、子育て中のママさんは
誰でも世話型依存の落とし穴にハマり込んでしまう可能性があるのです。

 

しかし、世話型依存の最も怖いところは、
子供に多大な悪影響を与えてしまうということ。
子供は常に母親の手助けを受けて育ってしまうので、
自分の意思で行動することができなくなります。

 

どんなことでも母親が先回りして
危険を取り除いた道を歩ませるわけですから、
子供はケガをして痛い目に遭うこともなければ、
挫折して心をへし折られることもありません。

 

結果として、自分が何をしたいのか決められずに
進路に迷ってしまったり、
困難なことを避けて通る無責任な大人になってしまったりします。

 

つまり、世話型依存は、
相手を「依存性人格障害」にしてしまう危険性があるのです。

 

努力して何かをつかみ取るという経験もできないまま成長するわけですから、
会社に入社しても「指示待ち人間」になり下がるだけ。
極端な場合は、引きこもりになって
社会に出られなくなってしまうケースも“無きにしも非ず”です。

もたれ合う「共依存」

世話型依存の弊害としてもう一つ挙げられるのが、「共依存」です。
共依存とは、読んで字のごとく、「共に依存している」状態のこと。
人の世話を焼くことでしか自分の存在価値を確認できない人と、
人に頼らなければ生きていけない依存性人格障害の人が、
互いに依存しあっている関係がこれに当たります。

 

具体的には、次のような例が挙げられるでしょう。

 

◆アルコール依存症の人がいる家庭
アルコール依存症の心理的背景には、
「世話を焼いてもらいたい」「誰かに尽くしてもらいたい」
という気持ちがあります。
一方、そんな依存症の患者を支える家族は、
「相手の世話を焼くことで自分の存在価値を実感できる」
「相手を救えるのは私しかいない」
といった世話型依存特有の特徴を有するケースが多いようです。

 

◆DV夫とその妻
自分の思い通りに相手をコントロールすることによって
安心感を得るタイプの夫と、
相手のわがままに耐えることで自分の生きがいを感じる妻。
「夫がDVをするのは、私の忍耐が足りないからだ」と考え、
もっともっと尽くそうとする人もいます。

 

 

…これらに共通しているのは、
2人とも自分に自信を持てない人間であるということ。
自分の価値観や判断に自信や責任を持つことができないため、
相手にすがりつく(依存する)ことによって
なんとか自分を維持しているのです。

 

このような家庭環境で育った子供は、
両親との関係性の中で“安心感”や“信頼感”を得られないため、
精神的に不安定になりやすいと言われています。
(いわゆる、「アダルト・チルドレン」と呼ばれる人たち)

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