アルコール依存症克服ガイド

なぜ病識を持てないのか

アルコール依存症患者の特徴として、
「病識がない」ということはよく挙げられるポイントでしょう。
病識がない、つまり、自分が病気だという意識がまるでないというわけです。
自分の酒の飲み方のせいで明らかに周囲に迷惑をかけているというのに、
なぜ彼らには病識がないのでしょうか。

 

その理由としては、例えば次のようなことが挙げられるでしょう。

 

●飲酒社会
日本では、20歳を過ぎれば
基本的には誰でもお酒を飲むことができますよね。
つまり、自分以外にも
酒を飲んで酔っ払っている人はたくさんいるわけです。
そして、「飲める」「お酒が強い」ことが正当化されている。
…ですから、「飲んでいるのは自分だけじゃない」と思いやすく、
アルコール依存症の病識を持ちにくいのです。

 

●酒の席でのことは覚えていない
酒の席での失態は、自分では覚えていないことがほとんどですよね(笑)。
翌朝、一緒に行った人から「昨日はこんなことがあって…」と聞かされ、
そこで初めて自分の失態に気付くというケースが多いでしょう。
アルコール依存症患者も、酒に酔った上での迷惑行為や問題行動は
覚えていない場合がほとんど。
ですから、自分が酒に依存している、
人に迷惑をかけているという病識を持てないのです。

 

●周囲の認識が甘い
「この人の最近の酒の飲み方はおかしい」と気付いていながらも、
「今はあんな辛いことがあったんだから仕方がない」
「いつかは止めてくれるんじゃないか」と、
周囲が甘く考えている場合も多いものです。
これは、アルコール依存症患者を甘く見逃しているに過ぎません。

 

だからこそ、本人は様々な言い訳を並べ、
責任転嫁して酒を飲み続けようとするのです。
そうして病識を持たせないままずるずると時間を浪費していくことは、
状況を悪化させる要因になります。

 

●自分を過信している
アルコール依存症患者には、
自分を過信しているようなところがあります。
「自分は大丈夫だ」「明日になれば、仕事にもいける」
「自分なら、止めようと思えばいつでも酒を止められる」
…本気でそう信じているところがあるため、
自分が依存症であることに気付かないのです。
(気付かない、というよりは心の働きで
“認められない”と表現したほうが適切かもしれません)

 

●知識がない
アルコール依存症についての知識を持っていないために、
患者自身が勝手に自己診断して
「自分は大丈夫だ」と決め込んでいる場合もあります。
例えば、「朝っぱらから酒を飲むのがアルコール依存症である」
「手や足の震えがあるのがアルコール依存症である」
…という誤った・浅はかな情報だけを頼りに自己診断してしまうため、
自分に都合の良い解釈がいくらでもできるわけです。
それらの症状さえ出ていなければアルコール依存症ではないと
信じ込んでいる人も多いので、
なかなか病識を持つことができなくなってしまうのです。

病識がない人を受診させるには

アルコール依存症の患者は、病識がないケースがほとんど。
「自分は病気ではない」と思っているわけですから、
当然のことながら自分で病院を訪れることはありません。

 

…となると、家族なり友人なり、
周囲の人の判断やサポートが不可欠となるわけです。
本人を説得して病院へ連れているケースもあれば、
「ドライブ」と嘘をついて連れ出し、
酒を飲ませて酩酊状態にしてから病院へ連れ込むという例もあります。

 

中には、「具合が悪いから付き添ってくれ」と嘘をついて
患者を連れてくる奥さんもいるのだとか…。
病院に入った途端に、患者と付添人が逆転するという。
みなさん、なかなか賢いですよね(笑)。

 

しかし、笑い話ではなく、家族が患者よりも一枚も二枚も
上手(うわて)にならなければ治療が進まないというのが現実です。
「病院がなんとかしてくれるだろう」という甘えは通用しません。

 

家族自身が、アルコール依存症を治療することに対して
断固とした決意で臨まなければ、患者の回復は見込めません。
実際、「先生、なんとかして○○を入院させてください」
「○○を家まで迎えに来てください」と依存的な態度の家族では、
結局は患者を甘やかすことになり、
なかなか患者自身も回復できないのだとか。

 

アルコール依存症の治療には、患者本人の病識はもちろん、
それをサポートする家族の病識もまた
必要不可欠であるということなのでしょう。

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