アルコール依存症克服ガイド

幻聴は症状の一つ

みなさんは、「幻聴」を体験した経験はあるでしょうか?

 

幻聴とは、聞こえるハズのないものが聞こえてしまうこと。
周りの人には聞こえないものが聞こえるわけですから、
その“何か”はその人の内面に起因しているわけです。
(オカルト系の現象については、
どういう仕組みになっているのか筆者には分かりませんが…)

 

アルコール依存症の患者にも、
この“幻聴”という症状が表れることがあります。
例えば、「死ね」という命令が何度も聞こえたり、
自分の名前を呼ぶ声が聞こえたり…。

 

幻聴が原因で自殺に追い込まれたケースも少なくありませんので、
これは結構深刻な症状なのです。

 

また、幻聴と似た症状として、「幻覚」や「妄想」があります。
小さい虫が辺り一面を這いまわっているように見えたり、
暴力団に追われていると思い込んでいたり、
周りのみんなが自分を笑い物にしているという被害妄想を持っていたり…
と、本人にとっては気が狂いそうなほど苦痛な状態です。

 

さらにひどい症状として知られているのが「コルサコフ症候群」
これは記憶力が低下して時間も場所も全く分からなくなるという
見当識障害が表れる症状で、
いわゆる「痴呆」に良く似た症状を呈するものです。

 

アルコール依存症の全患者の約8%に見られる症状であり、
治療を始めれば1〜3カ月で回復するようです。

 

…いずれにしても、アルコール依存症末期には、
家族だけではどうにもできない症状ばかり表れてきます。
早めに専門医の治療を受けさせる手段を探りましょう。

幻聴症状が表れた場合の治療法とは?

アルコール依存症で幻聴や幻覚の症状が表れた場合は、
薬物療法によって症状を抑えることになります。

 

幻聴や幻覚に対して用いられるのは「抗精神病薬」と呼ばれる種類の薬。
統合失調症の治療にも用いられます。
(統合失調症でも幻聴や幻覚の症状が出現します)

 

具体的には、ハロペリドールリスペリドンという薬が
メジャーどころですね。

 

通院して治療する道もありますが、幻覚や幻聴が強く表れている場合は、
入院治療を勧められることが多いようです。

 

幻聴や幻覚に苦しめられている患者を見ていると、
「この人はこのまま回復しないのではないか」
…と不安を覚えてしまいますが、薬物療法を受ければ、
幻聴や幻覚の症状は治まります。
治療さえ始めることができれば、
まずは命に関わる危険は回避できると言っても過言ではないでしょう。

 

問題は、治療を受けさせるまでのプロセス…。
アルコール依存症の場合は、本人に病識がないために
治療を受けさせること自体が難しいという点が最大の問題なのです。

 

治療を効率よく進めるためには
飲酒自体を禁ずるような環境=すなわち入院が
一番の治療法ではあるものの、
本人が拒否し続けて治療に至らないという例も多いよう。

 

「死ね」という幻聴に従って
本当に自殺してしまう患者もいるわけですから、
できる限り早い段階で薬物治療に導く必要があります。

病識がない人を受診させるために

アルコール依存症の患者の多くは、
「自分は病気ではない」と思っています。
幻聴が聞こえても「自分が病気だ」とは思わず、
その“声”を本気で信じてしまうのです。

 

誰かが病気であることを気付かせてあげなければ、
自分から病院へ出向くことはないでしょう。

 

家族なり友人なり、周囲の人が患者本人を説得して
病院へ連れているケースもあれば、
「ドライブ」と嘘をついて連れ出し、
酒を飲ませて酩酊状態にしてから病院へ連れ込むという例もあります。

 

傍から見ると滑稽なように思えてしまいますが、当人たちは必死です。
なんとしてでも患者に治療を受けさせなければならないからです。
そのためには、家族が患者よりも一枚も二枚も上手にならなければなりませんし、
家族が強い意思を持って治療に臨むことが大切です。

 

「病院がなんとかしてくれるだろう」という甘えがあれば、
治療は順調には進みません。
家族に甘えがあれば、それは患者にも必ず伝わるからです。

 

家族自身が、アルコール依存症を治療することに対して
断固とした決意で臨まなければ、患者の回復は見込めません。
アルコール依存症は、患者本人のみならず家族の変容をも迫る、
非常に“シビアな病気”と言えるのではないでしょうか。

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