お酒は文化!
日本文化は、お酒との関わりが非常に強い文化ではないでしょうか。
例えば、冠婚葬祭、歓送迎会、忘年会、新年会、景気払い、お祭り…と、
人が集まる行事では必ずと言っていいほどアルコールが振る舞われますよね。
アルコールの力で、楽しい行事はより楽しく、
悲しいことはみんなで分け合い、初対面の人とは距離を縮め…。
アルコールなくして日本の文化は語れない
と言っても過言ではないかもしれません。
実は、それは日本に限ったことではなく、海外でも同じようなことが言えそうです。
海外のドラマや映画を見ても、何かイベントごとがある時には、
登場人物たちがお酒を飲んでいるシーンがありますからね。
人間関係をより豊かにするツールとして、お酒は世界各国で愛されているのです。
また、アルコールそのものも一つの文化と言えるでしょう。
世界には多種多様なアルコール飲料がありますが、
その発祥ルーツを探っていけば、
やがては人間の本質的な部分を探る手がかりになるかもしれません。
寒い地方、暑い地方で作られるお酒の種類も異なりますが、
その製法にはそれぞれの土地の文化や生活が色濃く反映されているものです。
「酒飲み」「飲んだくれ」「アルコール依存症」といった言葉は
アルコールは悪いものだ」という偏見を強めてしまうのですが、
実際のところは、アルコールは文化であり一種の芸術作品
…と言っても間違いではないでしょう。
付き合い方を間違えると…
アルコールは一つの文化。
しかし、付き合い方を間違えると、
たちまち人体にとって“悪いもの”に変容してしまいます。
毎日のように大量のアルコールを飲み、
酔うことで現実から逃れる生活を続けていると、
やがて「お酒に飲まれる」状態になっていきます。
これが、アルコール依存症です。
アルコール依存症になってしまうと、
もはや酒を止めようと思っても自力では止められません。
会社に行かなければならないと分かっているのにお酒を飲むことを優先させてしまう人、
子育てを放棄してまで酒に走ってしまう人、
借金地獄に陥っても酒びたりの生活から抜けられない人
…様々なタイプの患者さんがいます。
2004年の厚生労働省の調査によれば、
アルコール依存症の人は国内で約80万人、
「依存症の疑いあり」の人は約440万人いると言われています。
しかし、実際に治療を受けているのは
5万人程度に過ぎないというデータもありますので、
ほとんどの人は底なし沼のようなアルコール依存の生活から
抜けられずに過ごしているということになるでしょう。
アルコール依存症にまつわるトラブル
アルコール依存症の怖いところは、健康を損なうばかりではなく
社会的な地位・立場をも損なってしまう可能性があるということです。
例えば、酔った上でのケンカが元で相手にケガをさせてしまったり、
気が大きくなって窃盗を働いてしまったり、家族に暴力を振るってしまったり、
多額の借金を作ってしまったり…。
家族をはじめとする周りの人たちは、本人の尻拭いに奔走することにもなりかねません。
特に問題なのは、子供への影響です。
アルコール依存症者がいる家庭では、どうしても、
「飲んだ」「飲まない」を巡る口論が絶えなくなりますので、
子供の心の平安は阻害されやすいでしょう。
近くで“ダメな親”を散々見せつけられるわけですから、
大人になることへの希望を持てなくなっても仕方ありません。
患者本人だけではなく家族も社会から孤立しがちになり、
非常に“内向き”な家庭になりがちなようです。
本来は一つの「文化」であるハズのアルコールも、
付き合い方を間違えると家族にとって「害」以外の何物でもないという状態に…。
酒に溺れる前に、“節度あるお付き合い”を心がけましょう。