アルコール依存症の原因は性格なの?
うつ病になりやすい性格があるように、
アルコール依存症にも「なりやすい性格」があるのでは?
…とは、誰もが思うことでしょう。
精神的に折れやすい人、何かに依存しやすい性格傾向がある人は
酒におぼれやすい…そんな風に思い込んでいる方も多いかもしれません。
しかし、実際には、アルコール依存症と性格の関係は
明確に解明されているわけではありません。
言い換えれば、誰でもアルコール依存症になる可能性があるということ!
特定の性格傾向の人だけがアルコール依存症になるとは限らないのです。
精神的にタフなのが自慢のあなたも、ちょっとしたことがきっかけで
アルコールにおぼれるようになる危険性は皆無とはいえません。
アルコール依存症患者の性格傾向
すでにご紹介した通り、
「アルコール依存症になりやすい性格」だから依存症になる
というわけではありません。
どんな性格の人でもアルコール依存症になる可能性はあります。
しかし、ひとたび依存症になってしまえば、
一定の性格傾向を示すようになるというデータがあるんです!
…考えてみれば、風邪や腹痛とは違って
アルコール依存症の症状は「性格の変化」そのもの。
アルコール依存症の患者たちが一様に同じ性格傾向を示すのも
不思議はないのかもしれません。
性格や考え方の変化は病気の一症状で、
病気になる前の性格とは違った性格になってしまいます。
それが原因で周りの人が離れていき、その孤独感からまた酒量が増える…
といった悪循環にハマり込んでいる患者も多いのです。
では、その性格傾向・ものの考え方とはどのようなものなのでしょうか?
ここでは、アルコール依存症患者に見られる傾向について詳しく見ていきます。
@否認
アルコール依存症患者の最大の特徴が、この「否認」です。
「自分は飲み過ぎたりしない」
「自分はお酒に依存したりなどしていない」という主張を頑なに繰り返し、
たとえ酒が原因で身体をこわしていようが、家庭が崩壊寸前になろうが、
酒が原因で仕事を失おうが、自分の問題の本質に目を向けようとはしません。
この「否認」を解決しない限り、
アルコール依存症の治療は難しいと言われています。
素直な性格だと言われていた人が、アルコール依存症によって
“人が変わったように”頑固な性格になるケースもあるのです。
A自己否定感情
アルコール依存症の患者も、心の奥では
「このままの自分ではダメだ」「酒を止めなければ」と思っています。
しかし、そんな自分をコントロールできずに
再びアルコールに手を出してしまうところがこの病気の怖いところ!
強烈な飲酒欲求にはとても太刀打ちできません。
止めようと思いつつも止められない葛藤は、
アルコール依存症患者本人でなければ分からないもの。
それを、「意思が弱いからだ」と跳ね返してしまっては、
本人はどんどん孤独になっていきます。
やがては、「自分はどうせ何をやってもうまくいかない」
「自分の人生はもうどん底だ」
「どうして自分だけがみじめな生活をしているんだろう」
「どうせみんな俺のことを軽蔑している」…と、
自己否定感に支配されるようになってしまいます。
性格はどんどん内向的になり、孤独感からまた酒を飲む。
この繰り返しです。
B他人に対して攻撃的になる
アルコール依存症者の特徴として、
他人の欠点に過剰に反応してそれを攻撃してしまうことが挙げられます。
例えば、奥さんや子供など、
身近で自分より弱い立場の人がターゲットになりやすいようです。
原因は、アルコールに支配されて
自分の思うようにならない自分自身に腹を立てていること。
それが、他人への攻撃に変わってしまうのです。
「穏やかな性格の人が、酒を飲むと人が変わったように攻撃的になる」
…そんな人は注意が必要ですね!