始まりは、ほんの気軽な“ストレス解消”
アルコール依存症やニコチン依存症、恋愛依存症にネット依存症など、
「依存症」という言葉は色んな場面で耳にします。
習慣化している行動を止めたり、止めようとしたりすると、
居ても立ってもいられないくらいイライラしてしまう…
それが、「依存症」の典型的な症状と言われています。
とはいえ、最初からアルコールやタバコに依存している人なんていませんよね。
依存症になってしまうメカニズムについて調べていくと、
「最初のきっかけはごく些細なことなんだ」
と、気付くと思います。
例えば、アルコール依存症は、
「疲れたから1杯だけ飲んで寝よう」
「一杯だけ飲んで、ストレスを和らげよう」
という軽い気持ちで飲んだアルコールから始まってしまいます。
最初はほんの1杯でも、それが2杯になり3杯になり…と、
徐々に酒量が増え、
いつしかアルコールを飲まずにはいられない身体になってしまうのです。
なぜ、依存してしまうの?
アルコール依存症の恐ろしい点は、
本人の意思では克服できなくなってしまうこと。
断酒から何年もたった後であっても、ある晩一滴でも酒を飲んでしまえば、
再び際限なく酒を求める日々に逆戻りしてしまうでしょう。
そのメカニズムを理解する上でのキーワードとなるのが、
「ドーパミン神経」です。
ドーパミン神経とは、脳内に“快感”を感じさせる神経。
「おいしい」「気持ちいい」「楽しい」といった感情を発生させます。
アルコール依存症の場合は、
このドーパミン神経による“快感”を得ようとして、
アルコールを強く欲するようになります。
しかし、脳内には
アルコールによって生ずる快感に対する「耐性」ができていき、
以前に感じた快感では満足できなくなってきます。
その結果、「もっと飲みたい」「もっと欲しい」と、
より多くのアルコールを欲するようになってしまうのです。
アルコール依存症は、
脳内で起こるこのようなメカニズムで進行していきます。
どんな人が危ない?
アルコール依存症の発症メカニズムは、
脳内のドーパミン神経と深い関わりがあります。
しかし、同じようにアルコールを飲んでいても、
依存症になる人もいればならない人もいます。
その違いは一体どのようなことなのでしょうか?
そもそも、アルコールに限らず、
快感に溺れて人生を踏み外すことは誰にでも起こり得ることです。
東大卒のエリートでも、その日暮らしのプータローでも、それは同じ。
職業や立場の違いはあまり関係がないでしょう。
運命の分かれ道を決めるのは、“心の底”にある問題です。
例えば、あなたは以下のような問題を抱えていませんか?
◆今の自分の人生に満足できていない
◆仕事やプライベートで強いストレスを抱えている
◆孤独感を感じている
◆コンプレックスが強い
◆人間関係の構築がうまくゆかず、思い悩む
…心の中にこのような悩みを抱えている人は、
自分が置かれた現状から一時でも気をそらそうとして、
“快感”に身をひたそうとする傾向があります。
それは、アルコールかもしれませんし、恋愛かもしれません。
しかし、それがきっかけで依存症になるケースも多いもの。
徐々にエスカレートして、「もっと」「もっと」と
さらに強力な快感を求めて対象に依存していくのです。
このように、アルコール依存症発症のメカニズムには
“心”が深く関わっています。
依存症を予防・克服するには、
アルコールに依存せずにはいられなかった自分自身の
“心の問題”に決着をつけることが大切なのです。