アルコール依存症克服ガイド

遺伝的な研究

アルコール依存症の発症リスクの50%は遺伝的要因である
…という研究結果があるのをご存知でしょうか?
つまり、親がアルコール依存症だと
子供もアルコール依存症になる可能性があるということ…。

 

確かに、お酒の強い・弱いは遺伝的なものがありますし、
生まれつき脳内の神経伝達物質の量が少ないという人もいますので、
言われてみれば納得できる研究結果ではありますよね。

 

遺伝的な研究では、かねてから、
非活性型ALDH2および高活性型ADH(アルコール脱水素酵素)は、
アルコール依存症の発症を抑制する作用のある
遺伝要素であることが分かっていました。

 

さらに近年、
アルコール依存症の発症促進に関与している可能性のある遺伝子
いくつか発見されたのだとか!
これは、アメリカでの遺伝研究で明らかになった内容で、
現在もより詳細な研究が続けられているのだといいます。

 

アルコール依存症の発症リスクと遺伝的要素の関係を解明するうえで、
非常に期待が高まる研究ですね。

心理社会的な研究

アルコール依存症になってしまった場合、どのような治療を受けるかご存知でしょうか?
現在の治療法の主流は、カウンセリング(個人精神療法)、
集団精神療法、自助グループなど。
このような治療を、「心理社会的治療」と呼びます。

 

どのような治療を行えば、患者が確実に社会復帰できるのか。
心理社会的治療においても様々な研究が行われています。
最近では、動機づけ面接法や認知行動療法などの手法を取り入れた
新たな治療モデルが研究・開発されているのだとか。

 

「動機づけ面接法」とは、患者の中にある矛盾点を拡大・明確化し、
それを解消する方向に向かうようにしていく面接法のことです。
治療者が何か指示をするのではなく、
患者が自分の中の問題について自ら気付くように誘導し、
行動を徐々に変容させていく
…という、素人にはちょっと理解が難しい治療法です(笑)。

 

「酒をやめなさい」と言っても、
アルコール依存症の人は素直に止められませんよね?
そこで、患者が「こうありたい」と望む生き方と、
現実の生き方(酒に溺れて現実逃避している)との間にある矛盾点を探り、
行動を変えることの価値を患者自ら気付くように治療者が援助するのです。

 

患者に気付かれないように誘導する「言葉のマジック」が必要ですし、
なにより患者とのラポール(信頼関係)を築くことが必要不可欠ですので、
誰にでもできる治療法ではありません。

薬物に関する研究

アルコール依存症の治療というと、監禁されて断酒したり、カウンセリングを受けたり、
患者同士が集まってミーティングを開いたり…
という印象が強いのではないでしょうか。

 

しかし、もちろん、薬物による治療の研究も進んでいます。
今のところ、日本でアルコール依存症の治療薬として使用できるのは
「抗酒薬」のみ。
これは、飲酒後に激しい不快反応を引き起こし、
その作用によって飲酒を断念させる薬物の総称です。
具体的には、ジスルフィラムとシアナミドが有名です。

 

しかし近年は、「飲みたい!」という飲酒欲求に直接作用するようなタイプ
薬物の研究が進められているのだとか。
具体的な薬物としては、「アカンプロセート」が挙げられます。

 

有効成分のアカンプロセートは、記憶と学習を司る脳内神経伝達物質である
「グルタミン酸」の受容体の一つである
N−メチルーD−アスパラギン酸受容体(NMDA)を通して
興奮性の神経系を抑える作用があるのだとか。

 

また、抑制性の神経系の働きを高めることにより、
アルコールへの「欲求」そのものを抑制することができるのです。

 

もともと脳内物質の一種であるため、副作用が少ない点も魅力的!
アカンプロセートの他にも、
いくつかの薬物治療についての研究が進められているそうですので、
これからの動向に期待が高まりそうですね。

アルコール依存症研究の現在関連エントリー