アルコール依存症克服ガイド

アルコール依存症治療の“ゴール”とは?

みなさんは、風邪を引いたときどんな方法で治療しますか?
「自宅で市販薬を飲んで温かくして寝る」という人もいれば、
「病院で薬をもらう」という人もいるでしょう。

 

全ての病気に当てはまるとは言えないものの、
ほとんどの病気の治療を“薬”の力に頼っているのが現状のようです。

 

もちろん、アルコール依存症にも薬物治療があります。
しかし、アルコール依存症は風邪とは違います。
アルコール依存症は、あくまでも“心の病”。
薬物治療で薬を飲んだからといって、
数日で簡単に治ってしまうほど単純なものでないことは
みなさんもご存知でしょう。

 

そもそも、アルコール依存症の治療は
どこを“ゴール”に据えて行われるのか?

 

それは、自分自身の力で断酒を継続できること!
一度アルコール依存症になると、脳内では神経科学的な変化が生じ、
少量のアルコールでは満足できなくなってしまいます。
そのため、断酒期間後に一滴でもアルコールが体内に入れば、
まるでスイッチが入ってしまったかのように
飲酒コントロールを失ってしまうのです。

 

アルコール依存症治療の最終的な目標は、
「アルコールを適度に楽しめるようになること」ではなく、
「アルコールを二度と飲まないこと」とされるのが一般的のようです。

薬物治療で飲酒行動をコントロールできるか?

アルコール依存症の治療として最初に行われるのは、“断酒”です。
しかし、「止めなさい」と言われて簡単に酒を断つことができるなら、
アルコール依存症ではありませんよね。

 

アルコール依存症の患者は、
「酒を止めよう」という気持ちがあっても自分では止められないのが問題。
禁断症状などに苦しめられ、結局また酒に手を出してしまう方が多いのです。

 

そこで、断酒を維持していくために、心理療法(精神療法)
必要に応じた薬物治療が行なわれることになります。

 

薬物治療で用いられる薬としては、まず、“抗酒薬”があります。
これは、アセトアルデヒド脱水素酵素の働きを阻害する作用を持った薬で、
代謝の中間物質であるアセトアルデヒドの血中濃度を高めます。

 

アセトアルデヒドって、みなさんも聞いたことがありますよね?
血液中のアセトアルデヒド濃度が高くなると、
例えば二日酔いのような不快感が出てきます。
この不快感を利用して、
多量の飲酒ができなくなる状態にするというのが抗酒薬の狙いです。

 

日本では、「シアナミド」と「ジスルフィラム」
(商品名は「シアナマイド」と「ノックビン」)
の2種が認可されています。

 

※ただし、これらの薬は飲酒欲求そのものを抑える薬ではありません!欧米では、「アカンプロセート」や「ナルトレキソン」といった渇望抑制剤が認可されており、万全とはいえないまでも高い断酒効果が報告されています。残念ながら、日本では認可されていません。

薬物治療で心の問題をフォロー

アルコール依存症治療では、
単に飲酒行動をコントロールする目的のためだけではなく、
心の問題をフォローするために薬物治療を採用するケースもあります。

 

例えば、不眠やうつなどの症状を伴った患者さんには、
睡眠薬や抗うつ薬、精神安定剤などを処方するケースもあり。
薬物治療で精神的な症状をケアすることで、
アルコールに手を出してしまいそうになる心の葛藤を
緩和することができるのです。

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