アルコール依存症克服ガイド

「機能不全家庭」という言葉をご存知ですか?

アルコール依存症は、患者一人の病気ではありません。

 

確かに、お酒を止めようと思っても自力で断酒することができないわけですから、
本人は辛いでしょう。
もともと、不安感や孤独感から逃れるために
アルコールにハマってアルコール依存症になるケースが多いわけですから、
患者はもともと精神的な脆弱性を備えていると考えられます。

 

しかし、アルコール依存症の患者を抱えて、
そのサポート(言い方を変えれば“尻拭い”)を強いられる家族も辛いのです。
アルコール依存症の患者が一家の大黒柱だった場合には
経済的な面にもしわ寄せがくるでしょうし、何より、家庭内がギスギスします。
酒に酔って親が子供に暴力を振るうというケースは決して珍しくありませんし、
暴力こそなくとも、子育て完全に放棄してしまうこともあります。

 

場合によっては、奥さんが子供を連れて出て行ってしまう…
という家庭崩壊も免れないでしょう。

 

このような状態に置かれている家庭は、「機能不全家庭」とも呼ばれているようです。
機能不全家庭は、家庭内に対立や虐待、
ネグレクトなどが存在する家庭を指しています。

子供への深刻な影響

アルコール依存症の親を抱えているなど、家庭崩壊の状態で育った子供たちには、
一般的に次のような傾向が見られると言われています。

 

■“いい子”を演じる(Hero)
いい子、優等生を演じることによって、親から愛されようとする。
しかし、常に不全感や失敗感を持ち続けることが多い。

 

■“問題のある子”を演じる(Scapegoat)
攻撃的な振る舞いをすることによって、
家庭内の本来の問題から目をそらす役割を果たそうとする。
家庭の外でも“いじめ”の標的にされやすい。

 

■自分が存在していないように演じる(Lost One)
いないふりを演じることによって、家庭内の火の粉が自分の身に降りかかるのを防ぐ。
しかし、内面的には「自分なんてどうでも良いんだ」といった強い孤独感を抱えている。

 

■ピエロのようにわざとおどける(Clown)
家庭内の緊張感を和らげようと、わざとおどけたりする。
しかし、それは現実から逃避しているに過ぎず、情緒不安を抱えることになる。

 

■家庭内の管理者的役割を演じる(Little Nurse)
親の愚痴を聞いたり面倒を見たりして、自分を犠牲にして家族のために尽くそうとする。
自分のしたいことや感情を、自分自身でも認知できなくなってしまう。

大人になってからの影響

家庭内にアルコール依存症患者を抱え、
家庭崩壊状態になっている環境で育った場合、
大人になってからも様々な“心理的問題”に苦しめられるケースが多いようです。

 

例えば、次のような問題があります。

 

・子供の頃に健全な親子関係を築けなかったため、
 他者との間に信頼関係を築けない
・他者の苦しみを理解することができない
・自尊心が低く、ポジティブな自己イメージを持つことができない
・人間関係にトラブルが発生しやすい
・精神的に不安定になりやすい
・他者との距離感の取り方が分からない
・機能不全家庭の世代間連鎖を引き起こしやすい
 (家庭を持っても、家族との間に健全な信頼関係を築くことができないため)

 

…もちろん、アルコール依存症の親の下に生まれたからといって、
全ての人が心に欠陥を持つとは限りません。

 

しかし、健全な愛情を受けずに育てば、人の愛し方が分からなくて当然。
どうすれば人は笑うのか、どうすれば人は安心を感じるのか…
自分自身がそれを知らないのですから、
子供への接し方に戸惑ってしまうのは当たり前のことです。

 

大切なことを相談したかった時期に、
最も身近な“人生の先輩”であるはずの親が
いつも飲んだくれていたのですから…。

 

これは、健全な家庭で育った人にはなかなか理解できない世界でしょう。
育った環境による影響ですから、それは、
その人を責めても仕方がありません。
その点を、パートナーは理解してあげるべきでしょう。

 

その人の弱さ、心の闇がどこに由来しているのかを、
冷静に見極めるべきです。

 

世代を超えた家庭崩壊の連鎖を食い止めるためにも、
アルコール依存症による“心の後遺症”は専門医に相談して早めに解決しましょう。

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