アルコール依存症克服ガイド

家族が“否認”する理由

アルコール依存症患者の特徴は、自分自身に病識がないこと。
自分がアルコールに依存していること、病気であることを「否認」することです。

 

それは、アルコール依存症に対して世間が持っている偏見や誤解を、
本人もまた同じように持っているから。
酒浸りの生活になりながらも、世間体を気にしているのです。
だからこそ、「自分は違う!」と思いたいわけですね。

 

実はこの心理、本人に限ったことではないのです。
アルコール依存症患者の家族もまた、家族が依存症であることを認めようとしません。
夫が(妻が)、親がアルコール依存症だなんて、世間体が悪い…
そう思って、アルコール依存症という現実に向き合おうとしないのです。

 

「会社には行っているし」
「毎日朝から晩まで飲んでいるわけではないし」
「家事もやってくれているし」
…と様々な言い訳をしては、
家族に明らかな異変が生じている現実から目を背けようとするのです。

 

しかし、他の病気と同じように、
依存症も早期に治療しなければ取り返しのつかないことになります。
家族を再び元の生活に戻したいと願うならば、
勇気を出して最初の一歩を踏み出すことです。

 

世間体云々とは言ってはいられないのです。

家族のあなたも病んでいる!

アルコール依存症の家族から酒を取り上げて必死に隠し場所を探したり、
本人の後始末に奔走したり、世間体を気にして本人をかばうための嘘をついたり、
自分を責めたり憐れんだり、孤独感にさいなまれたり…。

 

実は、そんなあなた自身もすでに病んでいるのです。
家族まで一緒に堕ちていってしまったのでは、患者は這い上がることはできません。
まずは、家族が変わることです。

 

世間体を気にして本人をかばうのは、もう止めましょう。
酒によるトラブルの後始末は、本人にやらせましょう。
本人を、そして自分を責めるのはもう終わりにしましょう。
今は、家族が病気であることを認め、そして外に助けを求めるのです。

 

各都道府県や政令指定都市に設置されている精神保健福祉センターや
保健所へ相談すると、アルコール依存症専門の医療機関を紹介してくれます。
また、家族教室を開催しているところもありますので、
アルコール依存症についての正しい知識を身につけることもできます。

 

実際に依存症の家族を回復させることに成功した人々の
体験談を聞いたりする機会もありますので、
「悩んでいるのは自分一人ではない」という勇気をもらえると思います。

悪循環から抜け出すために

ある程度、知識が身についてきたら、
今度は本人に治療を受けさせる策を講じなければなりません。
最初から本人を病院に連れて行くのは難しいという場合には、
事前に家族が病院に出向いて話を聞いてもらうということも可能です。

 

どうすれば病院に連れて来ることができるか、
どうすれば本人を説得できるか、医師と一緒に考えましょう。
自分一人ではただただ途方に暮れるだけだったかもしれませんが、
色々と策はあります。

 

例えば、「医療保護入院」というシステムをご存知でしょうか?
ちょっと乱暴な言い方をしてしまうと、要するに「強制入院」のことです。
これは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の中に定められている
システムであり、精神保健指定医が「この人は入院が必要だ」と診断すれば
本人の同意がなくても入院させることができるのです。

 

※ただし、次のような制約があります。
・保護者や扶養義務者の同意を得ること
・精神保健指定医の資格を持つ医師の診察を受けること

 

実際、精神科に入院中の患者の約3割は医療保護入院だというデータもあります。
(アルコール依存症以外も含む)
「これ以上飲ませたらヤバイ!」という危機感を覚えたら、
このような措置もあるということを思い出してください。
(そうなったら、もはや世間体を気にしている場合ではありません!)

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