アルコール依存症克服ガイド

「否認」と暴力の関係

アルコール依存症の主な症状の一つとして、「否認」があります。

 

…といっても、一体何を否認するのか?
否認するのは、アルコールを飲み過ぎてしまう自分、
アルコールを止められない自分、アルコールに振り回されている自分、
アルコールで家族を不幸にしている自分…。

 

そういう自分を正当化する方法の一つとして、暴力があるのです。
家族がアルコール依存症者に酒を飲ませまいとしても、
患者が暴力を振るえば形勢はすぐに逆転します。

 

最近、耳にする機会が多くなった
「ドメスティック・バイオレンス=DV」もその一種。
DVは、夫婦間、または親しい男女の間で起こる暴力のことです。
肉体的・身体的な暴力をはじめ、暴言や罵倒による精神的な暴力、
生活費を家庭に入れはないなどという経済的な暴力もDVに含まれます。

アルコール依存症のDV

アルコール依存症のDVは、
酔った勢いで暴れることとはちょっと違っています。
中にはそういう例もありますが、
アルコール依存症と関連したDVはあくまでも
「酒を飲む自己」を正当化するための暴力といった意味合いが濃厚。
家族が自分の飲酒行動に対して意見することを許すことができず、
家族を暴力で押さえつけようとするのです。

 

このようなことが続けば、家族は患者の暴力に怯え、次第に無力化し、
家族の機能はやがて崩壊してしまいます。

 

アルコール依存症のDVについて考える上でポイントとなるのが、
「嫉妬妄想」という症状。
酒におぼれる自分に対する絶望感が
「妻はこんな自分を見捨てるのではないか」
「自分に愛想を尽かして浮気をしているんじゃないか」
という妄想に転じ、そこから妻への不審感を募らせ、
やがて尾行や暴力といった異常行動に発展する…
というケースも少なくないのです。

アルコール依存症と子供への暴力

アルコール依存症者による暴力のターゲットになるのは、
配偶者ばかりではありません。
何の罪もない子供が、理不尽な暴力に晒されることも珍しくないのです。

 

アルコール依存症の親から受けた身体的・精神的・経済的な暴力は、
子どもの心を確実に破壊していきます。
頼るべき相手、守ってくるハズの相手から暴力を受けたという記憶は、
大人になっても癒されることはありません。

 

普通の家庭の子供のように笑うことすらできず、
常に強い緊張にさらされ続けた子供は、
人間として未熟なまま大人になってしまうケースも多いのです。
感情のコントロールができず、自分の親と同じように
大切な人に暴力を振るってしまう人もいます。

 

同じ過ちを繰り返さないためにも、親から受けた心の傷を癒し、
過去の苦しみから自分自身を解放することが必要です。

共依存の呪縛

家族の中にアルコール依存症で暴力を振るう人がいる場合、
その家族と患者は「共依存」の状態にあることが多いと言われています。

 

共依存とは、読んで字のごとく「お互いに依存し合っている」状態。
家族は自分よりもアルコール依存症者の世話に夢中になり、
患者が取るべき責任を自分が背負おうとしたりします。

 

たとえ暴力を振るわれたとしても、
「この人がお酒を飲みすぎるのは私のせいなんだ」
「私がいないとこの人はダメになる」と、
患者から離れられなくなってしまうのです。

 

つまり、患者に尽くすことによって自分の存在価値を確認しているようなもの。
こういった共依存の状態にあると、
なかなか離れることができなくなってしまいます。

 

一番の被害者は、子ども。
共依存状態にある両親の間で、
暴力に耐えながら常に緊張した状態に置かれることになるのです。

 

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