アルコール依存症は“薬物依存”の一種
突然ですが、みなさんは“おいしいお酒”を楽しんでいますか?
いえいえ、決して、高級なお酒を飲んでいますか?
…という意味ではありません(笑)。
仕事の仲間や家族、パートナーと美味しい食事を楽しみながら
ゆっくり飲むお酒は、心身の疲れを癒してくれるもの。
「今日のお酒は美味しかったな」と思えたら、
それは正しいお酒との付き合い方ができているということです。
ところが、お酒との付き合い方を間違えると、
アルコール依存症という深みにハマってしまう危険性があります。
意外と知られていませんが、アルコールは依存性薬物の一種。
“依存性”とは、その薬物(この場合はアルコール)を摂取することによって
色々な問題が生じているにも関わらず、
薬物の摂取を止めることができなくなる性質のことをいいます。
アルコールの他にも、麻薬や覚せい剤、シンナー、マリファナ、コカイン。
身近なところでは、睡眠薬や鎮痛剤、抗不安薬なども
依存性薬物にカテゴライズされます。
こんな症状が出たら注意★アルコール依存症の症状
アルコール依存症は、アルコールの持つ
“依存性”によって発病する病気です。
その症状は、ざっくりと分けると「耐性」、「飲酒行動の異常」、
「離脱症状」に分類されます。
ここでは、その症状うちの一つ、「耐性」についてご紹介しましょう。
一般的に耐性とは、
@ 環境の変化に対して適応していく生物の能力 。
A病原菌などが一定の薬物に対して示す抵抗力。
…を意味します。
「アルコールに対する耐性」といった場合は、
Aの意味に近いかもしれませんね。
習慣的に飲酒していると、アルコールに対する耐性が強くなって
なかなか酔えない身体になってくるんです。
みなさんも、「毎日飲んでいたらお酒に強くなった」
「しばらく飲んでいなかったら、お酒に弱くなった」
といったご経験はありませんか??
ただし、アルコール依存症の場合は、病気が進行すると耐性が落ちてきて
少量の酒量でもべろんべろんに酔っ払ってしまうようになります。
アルコール依存症の症状A 飲酒行動の異常
アルコール依存症になると、
「一口だけ」のつもりで飲み始めたアルコールを止めることができなくなり、
必ず飲み過ぎてしまうようになってしまいます。
この症状は「コントロール障害」とも呼ばれますが、
切りが良いところで止めることができないわけですから、
必ず酔っ払って周囲に迷惑をかけるなどの
問題行動が目立つようになってくるでしょう。
実は、この症状が、アルコール依存症を見分ける
大きなポイントだったりするのです。
具体的には、次のような症状(異常行動)が目につくようになったら要注意です!
■いつでもアルコールを飲めるように準備している。
(酒を隠していたり、常に予備の酒を用意していないと落ち着かない)
■ 飲酒のために多くの時間とお金を浪費する。
その分、仕事や家庭での役割をおろそかにしている。(趣味=酒)
■毎日、ほぼ同じ時間に同じ量のアルコールを飲み、
「飲んで寝る⇒目を覚ますとまた飲む⇒寝る⇒飲む…」を繰り返す。
(連続飲酒発作)
■上記の症状を繰り返した後、数日すると、
その後しばらくは全く飲まないで過ごす。(断酒)
■連続飲酒発作と断酒を繰り返す。
■「今日はこれだけで止めよう」と量を決めて飲み始めても、
結局はその通りに実行できない。自分の力で止め続けることもできない。
■「命が危ない」「離婚する」「解雇する」
…といった危機的な状況にあっても、飲酒を止められない。
■ふるえ、発汗、不眠、焦燥感などの離脱症状を
予防したり治したりするために飲酒する。
アルコール依存症の症状B離脱症状の出現
アルコール依存症の場合、体内のアルコールが減少し始めると
「離脱症状」と呼ばれる症状が出てきます。
数日間、断酒して乗り切れば自然と消失する症状なのですが、
飲酒によって体内のアルコールの量を上げることによっても消失するのが
厄介なところ…。
アルコール離脱症状群は、大きく2つに分類されます。
@早期離脱症状群
飲酒をやめて数時間すると出現する。
症状は、手や全身のふるえ、発汗(特に寝汗)、不眠、吐き気、嘔吐、
血圧上昇、不整脈、焦燥感、集中力の低下、幻聴、
てんかん様けいれん発作など。
A後期離脱症状群
別名、「振戦せん妄」。断酒後2〜3日目に出てくる症状で、
ほとんどの場合は数日程度で消失しますが
まれに3カ月ほど続くこともあります。
主な症状は、幻視、見当識障害、興奮など。
目に見えるはずのないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたり、
時間や場所、人物の見当がつかなくなったり…。
これらの症状に伴い、不安や恐怖感、興奮などの
精神的な症状も出てくることがほとんどです。
どうでしょうか?みなさんにも思い当たる点が見つかりましたか?!
「最近、アルコールでのトラブルが絶えなくて…」
…という方は、一度専門医を受診してみることをオススメします!!